ロシアのプーチン大統領は「猛虎」がお好き――。27日夜にモスクワで開かれた日ロ首脳会談で、安倍晋三首相がプーチン氏にトラの描かれた掛け軸をプレゼントした。犬好きとして知られるプーチン氏だが、絶滅危惧種のトラの保護にも熱心だという。
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同席者によると、首相はプーチン氏のファーストネームを呼び、「ウラジーミルは動物の中でも特にトラが好きだと承知している。絶滅危惧種のトラの世話をして自然に帰した逸話もあると聞く。この掛け軸を気に入っていただいたら柔道場などに飾っていただき、日本のことを思い出すきっかけとしてほしい」と述べ、日本画家の大橋翠石(すいせき)が1902年に描いた「猛虎」を手渡した。
プーチン氏は「(トラ好きは)その通りだ。ありがとう」と応じ、掛け軸をじっくり眺めたという。柔道をたしなみ、上半身裸で馬に乗るシーンを公表するなど、プーチン氏は「マッチョ」なリーダー像の演出が印象的だ。2012年には日本側から秋田犬を贈られたこともあるが、今回はトラに「格上げ」になった格好。
日ロ両首脳は、会談のたびにプレゼントを交換している。昨年12月の山口県での会談の際は安倍首相から、津波被害で沈んだロシア軍艦に代わる新造船をモチーフにした幅約6メートルの絵巻の複製画を贈呈。プーチン氏は1870年製のロシアの伝統的な湯沸かし器「サモワール」と、雪のモスクワ市内を馬車が走る様子が描かれた油絵を贈った。
ちなみに今回の会談でプーチン氏からは、北海道・函館の旧ロシア領事館の版画と、1862年にロシアを訪れた使節団員の版画が、首相にプレゼントされたという。(モスクワ=小野甲太郎)