女性の遺体が見つかった現場近くに設けられた献花台で、手を合わせる沖縄県名護市から訪れた小松智さん(左)、瑠美子さん夫妻。智さんは「同じ娘を持つ親として許せない」。瑠美子さんは「米軍基地が無ければ起きなかった事件。忘れてはいけないと思って来ました」と話した=27日午後、沖縄県恩納村、日吉健吾撮影
沖縄県うるま市の女性会社員(当時20)が殺害され、元米兵で米軍属の男が殺人などの疑いで逮捕された事件の発生から28日で1年。女性の遺体が見つかった現場には、いまも花が絶えることはない。28日は、沖縄が日本から切り離された「屈辱の日」でもある。
元米兵を殺人と強姦致死容疑で再逮捕 沖縄・女性遺棄
沖縄はいま
沖縄本島北部、恩納村の山中を抜ける県道脇が遺棄現場だった。そこに設けられた献花台には、花や果物、菓子が今も並ぶ。すぐそばの米軍キャンプ・ハンセンからは時々、爆弾の破裂音が響いていた。
近くに住む農業當山(とうやま)好夫さん(72)は、道ばたで手を合わせたり、献花台を掃除したりしている人を見かけてきた。
「こんなに基地に囲まれている。『もし、自分の身内だったら』と考える人が多いのでしょう」
當山さんが住む地区も、復帰前は米軍の戦車が走った。復帰後には、管理を頼まれていた保養所に米兵が侵入したことがあった。今月には、キャンプ・ハンセンからとみられる銃弾が民間業者の車に当たった。「沖縄は、今も弱い立場のまま。いつまで続くのか。あきれてしまう」と嘆く。
《沖縄の人だって事件を起こしてきた》《もう1回琉球処分するぞ》
うるま市の大学院生、玉城(たまき)愛さん(22)は、SNSで届いた見知らぬ人からのメッセージを思い出すと、力が抜ける。
昨年6月、約6万5千人(主催者発表)が集まった、事件に抗議する県民大会で壇上に立った。「今回の事件の第二の加害者は誰ですか。あなたたちです」。本土の人たちへ向けて叫んだ。ネット上で批判や暴言が飛び交った。通っていた大学にも電話がたくさんかかってきたと、後で聞いた。
事件が起きたのは、生まれ育っ…