韓国国防省は2日、在韓米軍が韓国への配備を進めていた高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD〈サード〉)の稼働を確認した。米韓両国は、9日に投開票される韓国大統領選前に暫定的に配備完了を宣言する方向で調整していた。
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国防省報道官は2日の記者会見で「現在、配備された装備を活用し、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対する初期能力を発揮できる状態だ」と語った。
同省などによれば、在韓米軍は4月26日から発射台2基などの装備を韓国南東部、慶尚北道星州(キョンサンプクトソンジュ)郡に搬入。星州のTHAADは発射台6基、弾道ミサイルを高度40~150キロで迎撃するミサイル48発などで構成され、年内に残る発射台の搬入や用地の整備などを進める。
米韓両国は、韓国の次期政権が配備を拒んだ場合、米軍展開の見直しを迫られ、日米韓の安全保障に大きな影響が出ることを懸念。配備時期の目標を当初の年内から7月に繰り上げ、さらに前倒ししていた。
軍事関係筋によれば、THAADは米太平洋軍の弾道ミサイル防衛計画に沿って配備される。韓国のTHAADは青森県の車力、京都府の経ケ岬に配備した高性能レーダーと一体的に運用し、北朝鮮から韓国やグアム、ハワイなどに向かうミサイルの軌道を捉える。(ソウル=牧野愛博)