地球の音を聞く女性の像。小鳥や象の鳴き声や風の音がスピーカーから流れてくる=パームスプリングス、平山亜理撮影
米カリフォルニア州の砂漠地域のリゾート都市パームスプリングスで、核戦争への懸念や移民、環境問題などを訴えるイベント「デザートX」が開かれた。ヒスパニック系を含むアーティスト16人が参加。鏡張りの家や移民を描いた壁画など、トランプ大統領の政策への反対や皮肉が込められた作品が展示された。
砂漠に掘った地下壕(ごう)には、ケネディ大統領の銅像が据えられた。地下トンネルには、麻薬密売人らがメキシコとの国境で掘ったトンネルや、地下ミサイル格納庫を連想させる。ケネディ氏の銅像には、リベラルな政治が地下に潜ることを強いられていることや、核戦争の脅威が増していることなど、トランプ政権への二つの皮肉が込められたものだ。
環境や自然保護を題材にした作品も多かった。地面に横たわる女性の像は、地球の声に耳を傾けようというメッセージだ。小鳥や象の鳴き声や風の音がスピーカーから流れる。
「幻影」と題されたのは壁全面が鏡張りの家だ。鏡には砂漠の風景が映る。環境に溶け込んだ建築を追い求めた一つの形だ。
芸術監督を務めた英国学芸員ネビル・ウォークフィールドさん(54)は、「砂漠には自由がある。しかし、何をしでかすか分からないトランプ政権下で、その自由が脅かされている」と話す。(パームスプリングス=平山亜理)