今春のキャンプで汗を流す日本ハムの大田泰示
(3日、日本ハム2―1ロッテ)
日本ハムが今季2度目のサヨナラ勝ち。九回、連打で好機を築き、巨人から移籍してきた大田が中前安打を放って決めた。
緊張よりも期待のほうが勝っていた。同点の九回、日本ハムは中田、レアードの連打で無死二、三塁。サヨナラの好機に七番打者の大田は「いい場面で回ってくる。流れを僕に持ってきてくれた。自分のなかで消極的になるものがなかった」。田中賢は敬遠。満塁となって打席に立つ。
初球のスライダーは思い切り振って当たらなかった。力んでいた訳ではない。「内野も前に来ていた。ちょっと速い打球なら抜ける」。2球目もスライダー。1球目より、外寄りの球に対して腕を伸ばして食らいつく。二遊間を破った打球を視界の端でとらえると、スタンドへ太い右腕をかざした。
昨オフ、巨人から交換トレードで加入した。古巣で最初の背番号は松井秀喜さんがつけていた55番。「プレッシャーとの戦いだった。試行錯誤しながら、がむしゃらにはやっていたけど」。とにかく結果を出そうと右方向への打球を意識するあまり、持ち前の豪快なスイングが消えた。8年間在籍して本塁打は9本。サヨナラ安打なんて1本もなかった。
左脇腹痛で出遅れた今季は、ここ3試合で毎試合安打だったとはいえ、打率はまだ1割台だ。「数字も残ってないのに、監督はあの場面で(打席に)送ってくれた。以前との違いを感じる。自信になる」。長い冬を終え、春真っ盛りの札幌から、大田は野球人生の大きな花を咲かせる。(山下弘展)
○栗山監督(日) 「大田はいろんな思いで野球をやっていると思う。大事な場面で活躍させてやりたい。(九回は)気持ちを感じる打撃だった」
○村田(日) 六回2死で交代したが、1失点と好投。「スライダー主体で、自分らしい投球が前回よりできた」