7日夜、マクロン氏の大統領選勝利を祝ってパリ・ルーブル美術館の前で喜ぶ人々=杉本康弘撮影
フランス大統領選で親欧州連合(EU)のマクロン氏が勝利した。EU首脳は安堵(あんど)の表情をみせるが、マクロン氏はEU改革も訴えている。
親EU強調「欧州立て直す」 仏大統領にマクロン氏
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EUの大統領に相当するトゥスク首脳会議常任議長は8日、「心から祝福でき、喜ばしい。フランスは欧州に不可欠で、欧州はフランスのためにある」との書簡をマクロン氏に送った。ユンケル欧州委員長も「ともに、より強く、公平な欧州を」とツイッターに投稿し、歓迎した。
だが、EUが強い支持を受けたとは言えない。マクロン氏はEU改革を訴える。自分たちの利益が優先されていないという仏国民の不満に応え、EUの規模より小さい、共通通貨ユーロを使う19加盟国で共通の予算や議会を作ることを提言している。
改革は簡単ではない。EUは3月、こうした批判を受けて加盟国間で統合の速度に差をつける共同宣言を採択したが、経済発展が遅れている国は反発している。今後、本格的に始まる英国とのEU離脱交渉でも各国が対英国で重視する分野は異なり、主権を制限されるというEUの負の部分が浮き彫りになる可能性がある。
欧州では6月に仏国民議会選挙、9月にドイツ連邦議会選挙と、EUを主導する2カ国で国政選挙を控える。EUが改革姿勢を示せず、反EUを訴える政党が議席を伸ばせば、EUの求心力は再び弱まる。
一方、ルペン氏に肩入れする姿…