火災のあったゴールデン街「まねき通り」付近。若い女性客や外国人観光客の姿も目立つ=東京都新宿区歌舞伎町1丁目
昨年4月の「新宿ゴールデン街」(東京都新宿区)の火災から約1年。全国からの励ましを受け営業を再開した店主たちは、「恩返しをしよう」と今月から周辺に住む子どもたちを対象に、持ち寄りで「こども食堂」を始めた。一方、東京地裁では非現住建造物等放火などの罪に問われた被告の裁判が始まった。
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戦後に露天商が集まり、飲み屋街に発展したゴールデン街。その一角で7日午後、約30人の子どもたちから歓声が上がった。店主たちが作ったカレーやナポリタンをほおばり、手品ショーや紙芝居に見入る。紙芝居を読んだバー「十六夜(いざよい)」店主の高野修さん(58)は「みんなうれしそうで良かった」と笑顔をみせた。
火災後、ゴールデン街の店舗が加盟する新宿三光商店街振興組合には、見舞金が寄せられるなど全国から支援があった。被災した17店のうち15店が今年1月までに再開しにぎわいを取り戻しつつある。
店主らが手弁当で「こども食堂」を始めた理由について、組合理事長でバー「ダーリン」店主の石川雄也さん(43)は「励ましに対する恩返しを形にしたかった」という。今後も毎月1回の目標で開く予定だ。
歌舞伎町一帯では、子どもを近くの夜間保育所に預けて働く人もいる。ゴールデン街でも、間もなく子どもが生まれる石川さんをはじめ、育児世代の店主が少なくない。「親が夜働くために寂しい思いをしている子どももいるはずで、近所の子も含めて『こども食堂』で楽しい一時を過ごしてもらいたい」
この日、居酒屋「肉人(にくと…