東京都新宿区の飲食店街「新宿ゴールデン街」で昨年4月に発生した火災で、非現住建造物等放火などの罪に問われた住所不定の無職、春名弘被告(67)の初公判が9日、東京地裁で開かれた。春名被告は「現場に行った覚えはあるが火は付けていない」と起訴内容の一部を否認した。
検察側は冒頭陳述で、公園で寝泊まりしていた春名被告が所持金がなくなったため、ゴールデン街の店を1軒ずつ物色。改装中で無施錠だった2階建ての空き店舗に侵入したが、金目のものがなく火を付けたと主張した。弁護側は、出火原因にはたばこの不始末も考えられ、放火だとしても第三者の可能性があるとして住居侵入は認めたが、放火については無罪を訴えた。
起訴状によると、春名被告は昨年4月12日午後1時20分ごろ、新宿区歌舞伎町1丁目の木造2階建て空き店舗に侵入して火を付け、建物4棟の一部を焼損したとされる。
火災ではゴールデン街にある木造長屋4棟が焼け、一帯の約300店のうち17店が被災した。2店は廃業したが、残る15店は1月までに再開している。(志村英司)