アリーナのほか、市役所や議場、市民が利用できる貸しスペースなどが併設されるアオーレ長岡。昨年10月、B1新潟の本拠開幕戦が行われた日には、広場でイベントも開催されていた
屋内スポーツのリーグや球団が、会場探しに四苦八苦している。自治体も、新たに施設を造る財政的な余裕はない。一方で、打開策も考えられつつある。
ホーム会場狭すぎて降格 バスケ東京EX、試練の再出発
「非常に残念。もったいない」。プロバスケットボールBリーグの大河正明チェアマンは、繰り返した。4月5日のリーグ理事会で、2部B2東京EXの3部B3降格が決まった。
理由は「3千人を収容できるアリーナで本拠戦の6割(18試合)以上を実施」というリーグの要件を満たせなかったからだ。今季、本拠にした板橋区小豆沢体育館は収容人数約1千人だが、区からの支援を取り付けたため、今季はB2入りが認められた。だが区は昨年10月、「早期のアリーナ建設は難しい」と告げた。
東京EXは本拠を探したが、今季2試合を開催した墨田区総合体育館はフットサルFリーグのチームの本拠。首都圏に広げても、プロだけでなく中高生の試合などで埋まっていた。
1部B1の参入要件は「5千人収容のアリーナで本拠戦の8割(24試合)実施」とさらに厳しい。B2信州の本拠・長野県千曲市には規格を満たすアリーナがなく、長野市や松本市のアリーナもイベントで過密状態だ。B1川崎は「とどろきアリーナ」での本拠戦を全て金、土曜日に実施。「中高生の大会などとの兼ね合いで、日曜は遠慮せざるをえない」という。
スポーツ庁の調査では、2015年度、学校施設を除いた全国の公共体育館の数は8777で、02年度(8628)より微増した。だが、開幕元年のBリーグをはじめ、新規参入を検討する団体にとって会場問題は悩みの種だ。来秋の開幕を目指す卓球「Tリーグ」の運営法人で理事を務める元日本代表の松下浩二氏は「多くは、2千人以下の収容能力」と指摘する。
Tリーグも3千~5千人規模の会場を想定する。松下氏は「他の団体と会場の取り合いになる地域も出るかもしれない」。Bリーグとの連携や、自治体の協力が重要だとみている。