福島市に提出された完了報告書の写真。竹林ではない場所に竹筒を差し込んで撮影していたという(福島市提供)
福島市は11日、東京電力福島第一原発事故に伴う除染作業をした下請け業者が、工事の完了報告書を偽装していたと発表した。作業現場について、工事単価が高い「竹林」と偽るため、短く切った竹筒を地面に並べた写真を提出していたという。業者側が不正に受け取った金額は約1千万円とみており、詐欺容疑での刑事告訴や指名停止の行政処分を検討している。
福島市によると、偽装が発覚したのは松川地区の現場。晃建設と古俣工務店、ノオコー建設=いずれも福島市=の共同企業体(JV)が2014年9月~16年3月に約18万5千平方メートルを除染した。福島市は約6億2千万円を支払った。
福島市の場合、落ち葉などを取り除く森林除染の単価は1平方メートルあたり約500円。一定の太さの竹が密生している「竹林」の場合は竹の伐採作業も必要になるため、約4600円が上乗せされ、約10倍になる。
昨年11月に内部告発があり、地区内の1工区(約3500平方メートル)の現場を確認したところ、報告書をもとに「竹林」と認めていた約2500平方メートルの大半が竹林ではなかったという。
福島市によると、偽装写真を撮影したとされるのは三次下請けに入った福島県二本松市の「ゼルテック東北」(今年3月に閉鎖)。元経営者は「市の基準は満たしていないが、細い竹が生い茂っていたので、竹林と認められる写真を撮ってこいと部下に指示した。元経営者として責任を感じている」と釈明した。
福島市は「竹林」と認定する際、現場確認をしていなかった。除染企画課の土田孝課長は記者会見で「今後このようなことが起こらないためのチェック機能を検討する」と述べた。ほかの工区でも偽装写真がないか調べている。
JVの統括責任者は「写真が偽装されていることは全く考えておらず、把握できていなかった。過剰請求分は返金していきたい」と述べた。