老舗茶商「堀井七茗園」の室町時代から続く「奥の山茶園」に設置された観測装置=京都府宇治市、佐藤慈子撮影
京都府南部で宇治茶をつくる複数の茶園で、土壌の温度や水分量などを観測し、データを生産者同士が共有する試みが進んでいる。800年にわたる宇治茶の歴史で、各茶園がそれぞれ蓄積してきた生産ノウハウの一部を持ち寄って、産地ぐるみで生産力、ブランド力向上をめざす。
取り組むのは、茶業関係者や府、宇治市などが2014年春に設立した「宇治茶ブランド拡大協議会」。害虫や霜を防いだり、肥料を与えたりする時期など、各生産者が経験に基づいて進めてきた作業を、データで判断できるようにする。新規参入の支援にもつながり、宇治茶全体の品質向上につながるという発想だ。
協議会設立に先駆けて、宇治市内の2カ所の茶園に観測装置を設置し、現在は和束町、宇治田原町を含めた計7カ所で稼働している。測定するのは気温、雨量、日射量、土壌の温度と水分量、風向風速など12項目。府茶協同組合にデータを送り、生産者らはインターネット経由でデータを閲覧できる。
昨年度は、一定期間の温度分析…