4歳で亡くなった宮崎花梨ちゃん。病院の屋上に降った雪で雪だるまをつくった(2016年1月、熊本市東区、遺族提供)
熊本地震で被災した熊本市立病院から転院後に亡くなり、災害関連死に認定された宮崎花梨(かりん)ちゃん(当時4)=熊本県合志市=をめぐり、熊本市の大西一史市長は15日、耐震化の遅れを認め、「大切な命が犠牲になってしまった」と両親に直接謝罪したことを明らかにした。病院の建て替えに患者の声を反映させるよう求められ、意見を聞く機会を持つと約束したという。
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花梨ちゃんは昨年4月、先天的な心臓病で入院中だった市立熊本市民病院(同市東区)で被災。転院を余儀なくされ、転院先の福岡市内の病院で亡くなった。その後、地震が原因の体調悪化などによる関連死と認定された。
父の貴士さん(38)と母のさくらさん(38)は朝日新聞など各社の取材に実名で応じ、新病院づくりに患者の意見を反映させることなどを訴えてきた。報道を見た大西市長が面会を申し込み、14日に市役所で両親に会って謝罪。約1時間にわたって意見を聞いた。
市民病院は、2002年の調査で耐震化が不十分だと指摘され建て替えの議論が進んだが、資材の高騰などで実現しないまま熊本地震で被災した。天井の一部が崩落するなどし、310人の入院患者のうち197人が転院、113人が退院となった。地震後、19年秋の開業をめざし、別の場所での建て替えの計画が進んでいる。
大西市長は「(転院で)幼い命をなくさなければならなかったことに、市民病院を預かる責任者として心からおわびした」と明らかにした。建て替えには「地震の教訓を生かしたい」とし、他の患者らの話を聞く機会を設け、病院の被災時の業務継続計画などに反映させていく考えを示した。(平井良和)