米国のヘイリー国連大使は19日、北朝鮮が化学兵器の原料になりうるシアン化ナトリウム製造に関する国際特許を、国連の専門機関「世界知的所有権機関」(WIPO)に申請していたことを明らかにした。「人権や政治犯の扱い、過去の暗殺を考慮すれば、北朝鮮による入手は危険なだけでなく、非常識だ」と批判する声明を出した。
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国連関係者によると、申請は最終的には認められなかった。ヘイリー氏は北朝鮮を「ならず者国家」と批判した上で、国連機関に対し、北朝鮮の申請には最大限の注意を払い、国連安保理の監視機関と連携するよう求めた。
WIPOによると、申請は2015年で、シアン化ナトリウムは神経ガスの原料になる。国連の安保理制裁で北朝鮮への輸出が禁じられている。米FOXニュースによると、WIPOは安保理の監視機関に連絡をしていなかったという。対北朝鮮制裁決議の履行状況を調べる安保理の制裁パネルが経緯を調べている。
北朝鮮の化学兵器開発を巡っては、2月にマレーシアで北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏が猛毒の神経剤「VX」と見られる手口で殺害され、国際社会の懸念が強まっている。(ニューヨーク=金成隆一)