原子力規制委員会は24日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が新規制基準を満たすと認める審査書を正式決定し、安全対策の基本方針を許可した。許可された原発は1月の九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)に続き、6カ所計12基となった。
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大飯原発3、4号機「新基準に適合」 規制委が了承
規制委はこの日、2月に公表した審査書案に対して一般から寄せられた349件の指摘を踏まえ、文言などを修正して許可を出した。今後は設備の詳しい設計の認可と、重大事故時の対応手順などを記す保安規定の認可の手続きが本格化する。審査は数カ月かかる見込み。再稼働にはこれらの二つの認可と、地元自治体の同意が前提となるが、福井県の西川一誠知事とおおい町の中塚寛町長は容認する姿勢を見せている。
大飯原発3、4号機をめぐっては、2014年に福井地裁が地震対策の不備などを認め、運転の差し止めを命じた。現在は名古屋高裁金沢支部で控訴審が続いている。想定される地震の揺れについて、審査を担当した島崎邦彦・前規制委員長代理が「過小評価の可能性がある」と指摘。4月にあった口頭弁論に証人として出廷し、「必要な審査がまだ行われていない」などと批判した。
控訴審が続いているものの、運転差し止めの判決が確定しない限り法的拘束力はない。関電は新基準の対策工事を7月に終える予定で、さらに必要な二つの認可と地元の同意が得られ次第、10月ごろの再稼働を目指す。(石塚広志)