2012年に兵庫県川西市の県立高校2年の男子生徒(当時17)が自殺した問題で、同校が、自殺といじめの因果関係を事実上認める内容の追加報告書を県教委に提出していたことがわかった。当初は認めておらず、生徒の両親が報告書の訂正を求めていた。両親は取材に「息子の無念を少しは晴らすことはできたと思う」と話した。
男子生徒は12年9月2日に自宅で命を絶った。学校は同20日付の報告書で、「背景にいじめがあったことは確認された」とする一方、「暴力的行為や金品の要求はなかった」として、自殺との関連性は「現時点ではあるともないとも判断できない」としていた。
遺族は13年12月、同級生と県側を相手取り、損害賠償を求めて提訴。昨年3月、神戸地裁は判決でいじめを認定し、慰謝料の支払いを命じた。
追加の報告書は今月25日付で、A4判3枚。因果関係についての学校側の直接的な言及はないが、神戸地裁判決を引用。生徒が「ムシ」と呼ばれ、虫の死骸を教室の椅子の上に置かれるなどの行為がいじめと認定されたことを説明し、自殺の原因がいじめだとみることに「合理的な疑いを挟む余地はない」とした判決内容を記した。
また、独立行政法人「日本スポーツ振興センター」(東京)が、死亡見舞金の支給の決定通知で「(自殺の)主たる原因は学校の管理下でのいじめ」と認定したことも盛り込んだ。