貝殻ではなく、化粧品の容器を背負ったヤドカリの仲間。流れ着いたプラスチックごみは生態系にも影響を与えている(2015年、英領ヘンダーソン島、豪タスマニア大学のジェニファー・レイバース氏提供)
南太平洋の世界遺産、英領ヘンダーソン島に、日本製品のごみを含むプラスチックごみが、大量に流れ着いている。砂浜にあるプラごみの密度は、これまで世界で報告された中でも最悪級だという。豪州や英国の研究チームが、米科学アカデミー紀要に発表した。
ヘンダーソン島は南米と豪州の間に浮かぶ絶海の孤島。面積は約37平方キロメートルで那覇市よりやや狭いほどだが、希少な生物のすみかで、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産に登録されている。南半球の海流の影響で、ごみが流れ着きやすいという。
研究チームは2015年に海岸のごみを調査。99・8%は水に浮きやすいプラスチックで、島全体では約3770万個、重さ約17トンと推定された。
ごみの密度は砂浜の表面で1平方メートルあたり最大で約671個。10センチほどの深さに埋まった微小なごみは、最大で同4496個と推定された。廃棄された場所は不明だが、由来が判別可能な88個を調べると、日本製品のごみが約18%で中国製品と並び最多だった。次いでチリが約12%で続き、米国やロシア、スペインなど由来のごみもあった。
中にはレジ袋やカミソリ、ペンのふたなどもあり、化粧品容器を背負ったヤドカリや、漁具のごみにからみついて死んだ海亀も見つかった。海を漂う間に劣化して粉々になった大きさ5ミリ以下の「マイクロプラスチック」も目立つという。研究チームは「ヘンダーソン島のような離島が、世界で増え続ける廃棄物の掃きだめになっている可能性がある」と警告している。(小堀龍之)