北九州市小倉北区で2012年、スナック経営の女性ら2人が切りつけられた事件で、福岡県警は指定暴力団工藤会(北九州市)ナンバー3で理事長の菊地敬吾容疑者(44)や、傘下組織幹部ら計14人を組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)の疑いで逮捕し、2日に発表した。認否については明らかにしていない。
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このスナックは暴力団の立ち入りを禁じる標章を掲げていた。県警は、工藤会が暴力団排除運動の協力者に対する報復・見せしめを狙い、組織的に襲撃を計画したとみて、工藤会総裁の野村悟被告(70)ら上層部の関与についても調べる。
標章を掲げた飲食店関係者が刃物で襲われた事件をめぐる立件は、12年9月に北九州市小倉北区でクラブの男性役員が刺された事件に続き、2件目。
北九州地区暴力団犯罪捜査課によると、14人の逮捕容疑は、組織的に殺害を企て12年9月7日未明、小倉北区のマンション敷地内にタクシーで帰宅したスナック経営の女性(当時35)を刃物で切りつけ、止めに入ったタクシー運転手の男性(同40)も切りつけたというもの。2人は重傷を負ったが、一命を取り留めた。
菊地容疑者は工藤会の最大勢力・田中組の組長で、今回逮捕された大半もこの組の幹部や組員。田中組は小倉北区の繁華街を縄張りにし、みかじめ料を得ていたとされる。県警は、暴排機運の高まりで資金源が細ることへの危機感が襲撃の背景にあったとみている。