日本大会でも高い評価を得た「白馬」のラテアート=京都市右京区
エスプレッソにきめ細かに泡立てたミルクを注ぎ、動物や植物の絵柄を描く技「ラテアート」。13日からハンガリーで開かれる世界大会に、小川珈琲(京都市右京区)の衛藤匠吾(えとうしょうご)さん(23)が日本代表として挑む。制限時間内に描く絵柄の独創性や正確さなどを、世界のバリスタたちと競い合う。
泡立ったミルクにつまようじ状の「ピック」を刺し、筆のように動かしていく。30秒ほどすると、草原を駆けているような白馬が現れた。
衛藤さんは2月の日本大会で、このオリジナルのデザインなどを披露。4度目の挑戦で、約100人の頂点に立った。
ふだんは本店でバリスタとしてコーヒーをいれるほか、ホールスタッフとして配膳もする。カプチーノの注文を受けると、腕の見せどころだ。女性には動物、男性には風景といったように、客の性別や年齢に応じてデザインを工夫するという。
奈良市出身。就職先を探していた高校3年のとき、インターネットで見たラテアートの写真に一目ぼれした。もともとコーヒーが大好き。絵やデザインにも興味があり、バリスタの仕事に関心を持った。
大阪の調理専門学校でコーヒーのいれ方や歴史について学ぶうち、ラテアートをきわめたいと思うように。そこで在学中から、世界大会を制したバリスタが輩出している小川珈琲でアルバイトを始めた。
おいしいエスプレッソを抽出し、きめ細かなミルクの泡を作ってラテアートの「舞台」を整えるまでが難しいという。空き時間の大半を使い、練習室で毎日100杯以上のラテを作って腕を磨いてきた。モットーの「逆境でも頑張れば何か達成できる」を実現した。
同社では、2013年の世界王者の指導で、バリスタらが競い合いながら技術を高めている。日本大会では、決勝に残った8人のうち3人が同社の所属だった。ともに決勝を戦った遊免(ゆうめん)弘樹さん(32)は、衛藤さんについて、「度が過ぎるくらい真面目。先輩らのデザインも難なく再現するなど、手先の技術もピカイチ」と評価する。
40カ国の代表が集まる世界大会で、狙うのはもちろん頂点だ。「あこがれるだけでは先輩たちを越えられない。自分だけの良さを出し切って世界一になりたい」と力強く語った。(西田理人)