グリーン車と展望室を備える1号車。塗装も真新しく、隣のホームの車両が映っている=山口市のJR新山口駅
車両はレトロでも、中身は最新鋭――。JR山口線のSL「やまぐち号」の新型客車が4日、新山口駅で公開された。約80年前に活躍した客車をモデルに新たに製造し、ベビーカー置き場やイベントコーナーもある。
テツの広場
今の客車と同様に展望デッキを備える1号車は、グリーン車になる。1938年に製造された「マイテ49」がモデルで、東京―下関間を走った特急「富士」の展望車だった。戦後も特急「はと」や「つばめ」の客車として活躍した。
2~4号車は1939年、5号車は1927年から製造された客車をモデルにしている。いずれもSL全盛期に活躍した。駅にいた山口市の会社員男性(47)は「旧型客車にそっくりで驚いた」と興奮気味で写真を撮っていた。
過去の客車を単に復元させたわけではない。全車両にベビーカー置き場を設けた。JR西日本広島支社広報室の水戸亜祐美さんは「今までの客車に置き場がなかった。快適に利用していただくため、設置した」。トイレもこれまでの客車は和式だけだったが、洋式に。5号車のトイレはバリアフリー型だ。
3号車にはシミュレーションゲームのコーナーもあり、親子でも楽しめそうだ。SLの運転や、釜に石炭を投げ込む作業を体験できる。JR西日本山口地域鉄道部の真辺浩治部長は「これからの設備は最新鋭。今まで以上に、山口線の2時間の旅を楽しんでください」と話した。(藤野隆晃)