パロ・ゾンを視察する秋篠宮家の長女眞子さま=5日午後3時11分、ブータン・パロ、北村玲奈撮影
ブータンを訪問中の秋篠宮家の長女眞子さま(25)は5日、「ブータン農業の父」と呼ばれる日本人農業指導者の故・西岡京治(けいじ)さんのゆかりの地を訪ねた。
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西岡さんは1964年、海外技術協力事業団(現・国際協力機構)から現地に派遣され、パロを拠点に機械化の導入や、日本米、リンゴ、アスパラガスなどの栽培指導に尽力。80年に外国人として初めて、国王から爵位にあたる「ダショー」の称号を与えられた。
92年、現地で59歳で亡くなったが、西岡さんと3年間働き、現在もパロで農業を指導する北川伸二さん(60)は「ブータンには今、西岡さんが紹介した野菜があふれている」と話す。
眞子さまはこの日、西岡さんが拠点とした実験農場を前身とする「農業機械公社」を訪問。敷地内で、西岡さんの功績を記したパネルや、資料写真などを視察した。その後、現地の農家にも足を運び、かつて西岡さんが実際に訪れて、農業指導にあたったという水田を視察した。
案内したブータン農林省のワンディラさん(50)は「西岡さんは温かく、厳しい指導者でもありました」と懐かしむ。西岡さんの指導のもと、一帯では手作業による田植えから機械による田植えが広まった。機械の方が苗を深く植えることができるため、生育状況も良くなったという。
今回、眞子さまが訪れたことについて「とても幸運で良いこと。西岡さんの仕事は、日本とブータンの友好の象徴です」と喜んだ。(パロ=中田絢子)