首相と野党党首が一対一で議論する党首討論が今国会では実施されない公算が大きくなっている。国会審議活性化法で1999年に導入されてから、通常国会では必ず1回は行われていた。影を落とすのは「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題。政治主導を目指した国会改革の理念から遠のいている。
特集:加計学園問題
自民党の小此木八郎国会対策委員長代理は7日の記者会見で、18日の会期末までの党首討論の実施について、「現実的に日程は厳しい」と述べた。民進党幹部も「難しいだろう」との見通しを示した。
実施は元々民進が求めていた。ただ、加計学園問題への政府の説明や対応が不十分だとして、安倍晋三首相が出席する予算委員会の集中審議の実施要求を優先させた。党首討論は45分間と時間が短く、「追及が予算委より限定的になる」(国対幹部)からだ。
これに対して、首相への追及を最小限にとどめたい自民は6日、竹下亘国対委員長が集中審議に応じない代わりに党首討論を実施することを民進に提案。民進の山井和則国対委員長は「集中審議とセットなら受ける」と答え、折り合わなかった。
党首討論は、英国議会の「クエスチョン・タイム」を参考に導入された。野党が一方的に質問する各党代表質問や予算委員会質疑と違い、首相にも野党側への反論権を認める。これまでに64回行われている。通常国会では2000年に6回、01、03年も5回ずつ実施されるなど、必ず会期中に1~3回開かれてきた。(田嶋慶彦)