車道と歩道を分ける柵が設けられたロンドン中心部のウェストミンスター橋を警備する武装警官=河原田慎一撮影
英ロンドンでは、中心部のロンドン橋などで3日夜に起きたテロ事件の後、橋の車道と歩道を隔てる柵の設置など、テロ対策が急ピッチで進んでいる。ロンドンでは3月にも橋の歩道に車が突っ込むテロ事件が起きており、ロンドン警視庁が車の進入を防ぐ物理的な作戦に乗り出した。警戒に当たる警察官の確保は、8日に投開票が行われる総選挙の争点にもなっている。
ロンドン警視庁は5日、3月にテロ事件が起きた国会議事堂に隣接するウェストミンスター橋に、今回の事件から丸1日で柵を設けたと発表した。市内33の橋について安全対策を検討しており、ほかの橋にも次々と鋼鉄やコンクリートでできた高さ約1メートルの頑丈な柵が設けられた。
突然現れた柵に、ランベス橋を渡っていた会社経営者の男性(44)は驚きつつ、「これでテロ対策の決定打になる」と評価した。車の進入を防ぐ柵やポールは、広場など多数の人が集まるところに増え続けている。中心部の観光地コベントガーデンに接する道路にも、可動式のゲートが設けられ、警察犬や武装した警察官が目を光らせた。
英内務省によると、武装警察官の数は昨年3月時点で5639人で、5年前と比べ約15%減った。野党・労働党は、与党の保守党が2010年の政権交代後、緊縮財政を理由に警察官全体の人数を約2万人減らした、と批判。メイ首相が「対テロ予算は保っている」と反論するなど、総選挙の争点となっている。(ロンドン=河原田慎一)