山下玲奈さん(遺族提供)
大阪教育大付属池田小学校の児童殺傷事件から8日で16年。同校では、午前10時10分過ぎから、「祈りと誓いの集い」があり、全校児童らが黙禱(もくとう)した。
危険から命守る「安全科」授業続く 池田小事件16年
集いに先立ち、身の回りの危険から命を守ることを学ぶ「安全科」の授業が全学年であり、6年生の3学級では事件で亡くなった山下玲奈さん(当時8)の母和子さん(54)の手記が読み上げられた。
手記の全文は以下の通り。
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笑った顔、泣いた顔、怒った顔、いろいろな表情があったね。
ママは笑った顔が一番好きだったよ。元気がないとき、あの笑顔を見ると、とっても力が出て来るんだ。今はあの笑顔を見られないから、元気がでないよ。あの笑顔をもう一度見たいよ。もう一度会いたいよ。毎日寂しくて寂しくてたまらないよ。
あの日、6月8日の朝、駅で「行ってきます」って笑顔で言ってくれたよね。あの笑顔が最後だった。「ただいま」って笑顔で帰って来るの待ってたのに。学校でお友だちと何して遊んだか聞きたかったのに。もうお話しできないんだね。
車の中で宇多田ヒカルさんの歌、よく歌ってくれたよね。宇多田ヒカルさんのように、英語が上手になって歌手になるのが夢だったんだよね。歌はなかなか上手だったよ。そうそう踊りもすごく上手だったね。
毎朝楽しみにしていた小学生新聞を見せてあげることはもう出来ないけれど、今もちゃんと家に届いているよ。パパとママが毎日見てるから安心してね。小学生新聞の作文コーナーに応募したいと言って、作文用紙を買ったね。その夢はかなえることができませんでした。まさか玲奈の記事が、あんな悲惨な事件の被害者として載るなんて皮肉ですね。
たくさんの夢と希望をもって生きていたのに、こんなことで突然閉ざされるなんて今でも信じられません。
一体、何のためにこの世に出て…