「確認できない」「廃棄した」――。学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設をめぐり、政府側は8日、自治体職員や国家戦略特区ワーキンググループの座長ら関係者との面会記録について国会でこうした答弁を繰り返した。行政の決定の経緯を検証するための重要資料を「廃棄した」とする説明は、森友学園への国有地売却問題と似通う。識者からは説明責任を軽んじる政府の姿勢を批判する声があがる。
特集:加計学園問題
「訪問者の記録が保存されていない」。8日の参院農林水産委員会。自由党の森ゆうこ氏の質問に対して、萩生田光一内閣官房副長官はそう答弁した。
森氏は情報公開請求で入手した愛媛県今治市の行政文書をもとに、同市が国家戦略特区に指定される半年以上前の2015年4月、市企画課長らが首相官邸を訪問したと指摘、確認を求めた。萩生田氏は「公文書管理法の規定に基づいて遅滞なく廃棄している」と説明した。
自治体職員が直接、首相官邸に行くことは珍しいうえ、市の文書には「獣医師養成系大学の設置に関する協議」とあったため、野党からは「事前の調整があったのでは」との指摘が出ている。しかし、萩生田氏は「訪問者や訪問先の確認をすることは困難だった」とした。
同委では別の記録をめぐるやり取りもあった。
「記録が確認できないということで、具体的な日時に関してお答えを差し控える」。民進会派の舟山康江氏の質問に対し、松本洋平・内閣府副大臣はこう答えた。
舟山氏の質問は、特区を担当する山本幸三・地方創生相が昨年10月下旬、特区ワーキンググループの八田達夫座長と面会したことの確認だった。松本氏によると、この面会は非公式で八田氏は「(獣医学部新設の)早期実現のために地域的に限定することもひとつの方策」と発言したという。
国家戦略特区での獣医学部新設…