母子3人が殺害された住宅は、ブルーシートに覆われていた=8日午後7時48分、福岡県小郡市、長沢幹城撮影
福岡県小郡市の住宅で母子3人が死亡しているのが見つかった事件。県警は8日、このうち妻を殺害したとして県警巡査部長の中田充容疑者(38)を殺人容疑で逮捕した。警察官である中田容疑者が逮捕されるという展開に、一家を知る人たちは衝撃を受け、驚きをあらわにした。
福岡の母子3人死亡、夫の警察官を妻殺害容疑で逮捕
「明るい家庭のイメージ。ちょっと考えられない」。一家と日ごろから交流があった防犯指導員の男性(79)は、中田容疑者の逮捕を知り、そう話した。
最近も、長女実優さん(6)に自転車の乗り方を教えている中田容疑者を見かけたという。「真面目そうな人。自宅を訪れた時はにこやかに応じ、世間話もした」
4人家族の一家は2年前に県内の別の市から転居してきた。男性は中田容疑者が警察官だと聞き、「安全安心の面から、いい人が来てくれた」と感じた。事件後は現場の住宅に向け手を合わせているという。
隣のマンションに住む30代の女性は、母子3人が遺体で見つかる前日の5日夕、中田容疑者の後ろを実優さんが笑い声を上げながら自転車で付いていく様子を見た。「いつも子どもを見守る、いいお父さんのイメージがあった」と話す。
近くに住む女性(82)は中田容疑者について、「地域の防災イベントで話したことがある。優しい感じの人だった」と驚いた。
小郡市の加地良光(りょうこう)市長は、県警が中田容疑者の逮捕状を請求したと報じられた8日夕、「大変、驚くとともにショックを受けている。市としても学校や地域に動揺が広がらないよう対応していく」とのコメントを出した。
市教育委員会は8日、2人が通う小学校でカウンセリングをすべきかどうか確認する必要があると判断した児童90人に対し、スクールカウンセラーによる面談を始めた。(一條優太、窪小谷菜月、遠山武)