金塊の密輸入事件で、約10億円相当の金塊と腕時計を没収するとした一審判決の取り消しを香港の貿易商が求めていた控訴審判決が8日、大阪高裁であった。福崎伸一郎裁判長はこの主張を認め、一審判決のうち没収の部分を破棄した。
判決によると、大阪地裁堺支部は、日本人被告2人が2015年2月、香港から関西空港に金塊などを密輸入しようとしたとして関税法違反罪などで有罪とした。この際、貿易商が売った金塊と腕時計を「犯人に属する物」と認定して没収した。
貿易商は、没収の可能性がある物の所有者が刑事裁判に参加できる規定を利用して控訴。「密輸されるとは知らなかった」と主張していた。高裁は、一審は貿易商が密輸業者にだまされていた可能性を検討していないと指摘した。