英南部ソニングで8日、夫と投票を済ませ、投票所を後にする英国のメイ首相(左)=ロイター
英国総選挙(下院定数650)の投票が8日午後10時(日本時間9日午前6時)に締め切られた。英BBCは出口調査の結果をもとに、メイ首相率いる与党・保守党は改選前の331議席(議長を含む)から314議席に減らして、第1党の座は保つものの過半数(326議席)を割り込む見込みだと報じた。ただ各選挙区で激戦が続いており、英BBCは保守党が単独過半数を維持する可能性もあるとも報じている。
特集:英国総選挙
出口調査による予測通りに進めば、保守党内でメイ氏の責任を問う声が高まることは必至だ。欧州連合(EU)との離脱交渉に影響が出ることも避けられない。
最大野党・労働党は改選前の229議席から37議席増やして266議席、自民党も改選前の8議席から14議席に増やす。スコットランド民族党(SNP)は34議席で改選前の54議席から20議席減らす予測だ。どの党も単独では過半数に届かない「ハングパーラメント」(宙づり議会)になる可能性が出てきた。
今回の総選挙は、メイ氏が4月中旬、前倒し実施を突然表明したことで行われた。下院の安定多数を確保することで、EUとの離脱交渉に向けて政権基盤を固め、自らの交渉方針への信任を得ることが狙いだった。
当初、保守党は労働党に支持率で20ポイント以上リードし、「歴史的大勝」ともいわれた。だが「認知症税」と猛批判を浴びた福祉公約の修正や、メイ氏のテレビ党首討論会の不参加などで支持を落とした。
さらに選挙期間中に、中部マンチェスターとロンドンで2度、イスラム過激派によるテロが起き、治安対策も大きな争点に浮上。労働党のコービン党首は「テロとの戦いはうまくいっていない」と厳しく非難。保守党政権による警官2万人削減も「緊縮策による弊害」と批判して、保守党を猛追していた。
大勢は9日未明(日本時間9日昼)ごろにも判明する見通し。(ロンドン=渡辺志帆)