卓球世界選手権混合ダブルスで優勝した石川佳純(左)と吉村真晴=AFP時事
2020年の東京五輪では、リオデジャネイロ五輪から実施種目が33増えることになった。日本の金メダルが有望視される卓球の混合ダブルスや柔道の混合団体、5人制とは違った早い展開が魅力のバスケットボール3人制など、興味深い種目も入った。主な追加種目を紹介する。
東京五輪、バスケ3人制など新採用 リオから33種目増
■卓球混合ダブルス メダル有力だが中国を警戒
卓球の混合ダブルスでは、5日に閉幕した世界選手権で、吉村真晴(名古屋ダイハツ)、石川佳純(全農)組が日本勢として48年ぶりに金メダルを獲得した。全日本選手権でも実施されており、日本のレベルは国際的にも高い。日本協会幹部は「東京五輪のメダルの有力種目になるのは間違いない」とみる。ただ、今回の世界選手権で、中国選手同士のペアは出場していなかった。「中国など海外勢が強化してくると、油断はできない」と語る協会関係者もいる。
国際連盟の提案では「各国・地域で男女3人ずつ(うち1人は団体戦要員)」という選手数は変わらない。吉村も石川も、まずはシングルスか団体の代表にならなければならない。(前田大輔)
■柔道混合団体 金メダル十分に狙える
柔道団体戦は、リオデジャネイロ五輪でも採用を目指したが、実現しなかった。提案では男女3人、計6人でチームを構成。国際柔道連盟(IJF)の山下泰裕理事は「1964年の東京五輪で柔道が初めて採用され、今度は団体戦が加わる。世界中のファンに新たな感動を届けられる」と語った。
リオ五輪で男女12個のメダルを獲得した日本は、金メダルの有力候補になる。選手層が厚いロシアやフランスが強敵か。全日本柔道連盟の金野潤・強化委員長は「選手にとって大きな目標ができた。優勝を目指して準備したい」と話した。(波戸健一)
■3人制バスケ 国内競技人口が150万人
3人制バスケットボールはハーフコートで行い、10分間で21点先取するか、得点の多い方が勝ち。球を保持してから12秒以内に攻撃を終えなくてはならず、展開の速さが魅力だ。主に街中のコートで親しまれてきたが、国際連盟が2007年に正式ルールを設け、普及に乗り出した。5人制はさいたまスーパーアリーナが会場だが、3人制は東京の臨海部で行われる見込みだ。
日本協会が認定するリーグの運営会社によると、国内の競技人口は150万人。日本の世界ランクは9日現在、男子9位、女子15位。5人制で活躍した選手が転向する動きもあり、04年アテネ五輪代表の矢野良子(38)は5月末にトヨタ自動車を退団し、3人制への転向を表明。代表候補に選ばれている。(伊木緑)
■トライアスロン男女混合リレー 器用さ必要、チャンスはある
トライアスロンの男女混合リレーについて、日本連合は「メダル獲得の可能性が増える」と前向きだ。
男女2人ずつ計4人。1人がスイム、自転車、ランの3種目をすべて行って次選手につなぐ。2009年世界選手権から採用され、日本は最高8位。14年に初実施されたアジア大会では優勝した。
一人ひとりの距離が短く、シューズを履き、バイクの乗り降りをするトランジションの重要性が増すため、器用さが求められる。選手数抑制のため、リレーのみの出場は認められない方針といい、日本連合は「個人の出場枠4を満たせる国は限られるので、チャンスはある」としている。
■競泳男女混合リレー 日本には厳しいか
競泳男女混合リレーについて、日本水連幹部の見方は冷ややかだ。「メダルの可能性が広がるのは歓迎だが……。なにか劇的に変わることはない、というのが本音」。世界選手権では2015年に実施され、池江璃花子(ルネサンス亀戸)らが混合400メートルリレーに出場したが10位だった。パワーがあり、選手層の厚い米国や英国には有利だが、短距離で世界クラスの選手が少ない日本にとっては厳しい種目だ。
池江や萩野公介(ブリヂストン)など、多種目に出場する選手にとっては体力的な負担も増える。「競泳は個人の強化が大前提。混合リレーもやるからにはメダルを狙うが、一人ひとりを粛々と強化していくだけ」と水連幹部は言った。
■フェンシング男子フルーレ団体・女子エペ団体 若手の層厚くメダル狙える
フェンシング男子のフルーレ団体と女子のエペ団体は、フルーレ、エペ、サーブルのうち2種目を交互に実施する近年の運用で、東京五輪では外れることになっていた。男子フルーレは太田雄貴さんらが個人、団体で五輪メダルを取った日本の有望種目で、昨年の世界ジュニア選手権団体で金メダル。日本協会の敷根裕一強化本部長は「若手の層が厚く、メダルの可能性が一番高い」と話した。(稲垣康介)