江西省南昌市にある南昌市盲童学校で、縄跳びの縄が耳元を通る時の「シュッシュッ」という音とともに、縄跳びチームのメンバーたちは放課後の練習を始めた。中国日報が伝えた。
コーチの徐麗さんによると、現在、この縄跳びチームには13人のメンバーがいる。一番上は高校2年生、一番下は小学3年生で、程度の差はあるがいずれも視覚障害をもつ子供たちで構成されている。縄跳びは簡単な運動のように見えるが、実はスピードとパワー、テクニックが必要だ。健常者でも何度も練習しないとできない動きなのだから、目の不自由な子供たちにとって決して簡単とは言えない。
視覚という概念がないため、動作を理解するには音とリズムによる判断が全てとなり、繰り返し練習して体に覚え込ませる必要がある。2018年、南昌市師範学院体育学部を卒業したばかりの徐さんは、この特殊な縄跳びチームの指導を引き継いだ。子供たちが暗闇から脱するのを助けるために、徐さんは「縄跳びチームに入れば、学校を代表して様々な大会に参加できる。自分の力を発揮できるだけでなく、学校のために栄誉を勝ち取ることもできる」と子供たちを励ました。すると、それに共感し、チームに入るのは栄誉だと感じた子供たちが続々とチームへの加入を申し込んできた。
2019年、徐さん率いる縄跳びチームは、第10回身体障碍者運動会の女子ペア・シンクロ縄跳び(全盲/低視力部門)の優勝を勝ち取り、チームとして初めて金メダルを獲得した。現在も週3回の練習を続けており、東京パラリンピックの試合に向けた準備に余念がない。耳元を縄が通り抜ける時の音は、真剣に物事に取り組む音であり、夢を追いかける音だ。この小さな縄跳びチームは、学校の小さな運動場から世界の大舞台へと飛び出した。
小学5年生の胡熙◆さん(◆は雨かんむりに文)は記者に、「縄跳びチームに入ってから2年ちょっとになります。練習と試合を通じて、すごく自信がついたし、度胸もつきました」と語った。彼女の言う通り、どのメンバーからも明るく健康的な生き生きとした雰囲気が感じられた。南昌市盲童学校の肖勇校長は、この縄跳びチームを「光明縄跳びチーム」と名付けた。盲学校の教師は子供たちを励ますために、よくこんなことを言っている。「見えない中にも、見えるものがある」。教師らは子供たちに、「目だけに頼らなくても、世界を知る方法はたくさんある」と伝えているのだ。
肖校長によると、縄跳びのほかにも、盲童学校ではゴールボールや卓球、手作りクラフト、楽器演奏、マッサージなど特色あるカリキュラムを設けている。それと同時に、児童・生徒の「身体、心理、能力、興味」という4つの次元から独自の特色を持つ教学体系を構築し、それを通じて盲学校の教育課程を本当の意味で規範化、合理化、専門化しようと努力しているという。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年12月31日