民主抗争30年の記念式典で演説する文在寅大統領=10日午前10時28分、ソウル市庁前、武田肇撮影
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は10日、大統領直接選挙を実現させた1987年の「6月民主抗争」から30周年の記念式典で演説、「制度としての民主主義が揺らいで後退することはもうない。私たちの新しい挑戦は、経済における民主主義だ」と述べ、韓国社会が抱える経済的不平等の解消に向けて国民の結集を呼びかけた。
6月民主抗争は、全斗煥(チョンドゥファン)政権の独裁に反対し、大統領の直接選挙を求めて全国に広がった民主化運動。盧武鉉(ノムヒョン)政権下の2007年、国家記念日に指定されたが、保守系の李明博(イミョンバク)、朴槿恵(パククネ)両政権は重視せず、大統領の式典出席は盧氏以来10年ぶりとなった。
演説で文氏は「(朴氏の弾劾(だんがい)を求めて市民が直接行動した)ロウソク革命は、一世代かけて成長した6月抗争が咲かせた花だった」と述べ、朴氏の罷免(ひめん)によって政治の民主化は完成に近づいたとの自信を示した。その上で「所得と富の深刻な不平等が韓国の民主主義を脅かしている」と述べ、企業、労働者、市民社会がともに雇用問題に取り組むよう呼びかけた。
文政権は経済政策の目玉として…