愛知県新城市の東名高速で10日に起きた乗用車と観光バスの衝突事故。乗用車が対向車線から飛び込んでくる様子を、バスの運行会社は間を置かずに把握していた。携帯電話回線を介して映像や運転記録を見ることができるドライブレコーダーを備えていたという。
運行会社の東神観光バス(愛知県豊橋市)とレコーダーの製造会社によると、速度や距離などの運転記録とともに車内外の録画映像をリアルタイムでサーバーに送る機種で、強い衝撃などを感知すると、東神観光バスの事務所に通知する仕組みだった。
今回の事故で、発生の約2時間半後に映像を確認したという斎藤雅宣社長(56)は「映像が届いて一目で状況が把握できた」と効果を話す。昨年の長野県軽井沢町のスキーバス事故を受け、今年12月からは新車の貸し切りバスへのドライブレコーダー設置が義務化される。同社ではすでに保有する全てのバスに取り付けているという。
ドライブレコーダーの市場は急拡大している。調査会社GfKジャパンによると、2016年の販売台数は前年比29%増の79万台。年間販売台数は13年の約3倍になった。
一方、斎藤社長は12日、入院治療中の運転手で山本良宗さん(68)と面会し、山本さんが「お客さんは大丈夫でしたか」と話していたことを明らかにした。斎藤社長が「大丈夫だよ」と伝えると、ほっとした様子をみせていたという。(小手川太朗、寺田実穂子)