東京都議選(23日告示、7月2日投開票)を前に、小池百合子都知事が20日、築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転を表明したことに、各党から賛否の声が出ている。「選挙目当てだ」と批判する声もあがり、都議選の大きな争点となりそうだ。
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「豊洲市場の安全対策や『築地ブランド』をどう守っていくのか、具体策はなかった。移転の強行はやっぱりおかしい」。21日朝、江東区内の駅前で演説した共産党の現職は、小池氏の豊洲移転の方針を批判した。同党は豊洲市場の安全性を問題視し、移転反対の立場だ。「(移転ではなく)築地での再整備に踏み出すべきだ」と訴えた。
「八方美人。どこにも良い顔をするプランではダメだ」。小池氏と対立し、豊洲への早期移転を主張している自民党都議会会派の高木啓幹事長は20日、報道陣にこう語った。小池氏は豊洲と築地の両方を活用する計画を示したが、財源が不明確な点などを理由に「選挙目当て」と切り捨てた。
一方、公明党は「(公明の)提案が受け入れられた。歓迎する」(山口那津男代表)と喜ぶ。公明は都議選で、小池氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」と選挙協力する。市場問題では自民とともに移転計画を推進してきた経緯があり、小池氏に選挙前の移転判断を求めてきた。小池氏と足並みがそろった形になり、同党都議も「支持者に説明しやすくなった」と歓迎する。
ただ、同じく同会と選挙で協力する地域政党「東京・生活者ネットワーク」は「十分な汚染対策がないままの豊洲移転に反対」を掲げており複雑だ。「小池知事の決意を大変重く受け止めている。しかし豊洲の無害化が果たされない中で食の安全が守られるのか」。21日朝、世田谷区で演説したネットの西崎光子都議はこう述べた。ただ、同会との協力関係に変更はないという。
「極めて評価できる」と民進党都連会長の松原仁衆院議員は20日、小池氏を持ち上げた。豊洲の安全性のチェックは必要としつつ、「築地の食文化を残す姿勢は民進の主張に沿う」という。公認予定者の離党が相次ぐ中、「(民進は)都民ファーストの会と友党的な立場」と秋波を送った。
小池氏は21日午前、品川区内で同会公認の立候補予定者と街頭演説したが、市場問題には触れなかった。