帝王切開で出産した長女が脳に重度の障害を負ったのは医療ミスが原因だとして、京都府の夫婦が「ふるき産婦人科」(同府京田辺市)を相手取り、慰謝料など約1億円を求めて京都地裁に提訴していたことがわかった。この医院をめぐっては、出産時の麻酔で女性やその子供に重い障害が出たことが相次いで発覚、日本産婦人科医会が調査に乗り出している。
無痛分娩の麻酔で母子に障害 京都の医院、別件でも訴訟
訴状によると、母親(35)は2011年4月に長女を出産した。出産までの検診では何の異常もなかったが、医院側は出産時に分娩監視装置を装着せず、無痛分娩をするために「硬膜外麻酔」を行い、子宮収縮剤を投与した。結局、帝王切開で出産したが仮死状態で生まれ、脳性まひなどと診断された。その後、長女は14年12月に3歳で死亡した。
夫婦側は、産婦人科診療ガイドラインは、子宮収縮剤を使う際には分娩監視装置の着用を定めていると指摘。「医院はこれを怠り、低酸素脳症を発症させた」と主張。一方、ふるき産婦人科は「取材には応じられない」としている。
この医院をめぐっては、無痛分娩や帝王切開のため硬膜外麻酔をした後に呼吸などが出来なくなり、母子が重い障害を負ったなどとして、京都府内の2家族が京都地裁に提訴している。(安倍龍太郎)