マラー特別検察官=ロイター
ワシントン・ポスト紙は14日、米トランプ政権の「ロシア疑惑」を捜査しているマラー特別検察官がトランプ大統領の司法妨害を視野に捜査を始めたと伝えた。週内にも情報機関トップらの聴取を予定しているという。
同紙によると、マラー氏が聴取を予定しているのはコーツ国家情報長官とロジャーズ国家安全保障局(NSA)局長ら。政府内外から、トランプ氏の司法妨害疑惑を巡る証言を集める方針だという。
司法妨害疑惑は、トランプ氏が5月9日、ロシア疑惑を捜査していたコミー連邦捜査局(FBI)前長官を解任したことをきっかけに明るみに出た。コミー氏は、フリン前大統領補佐官の捜査についてトランプ氏から「この件はやりすごしてほしい」などと言われたと指摘。コミー氏は詳細なメモを残しており、既にマラー氏に提出しているという。
同紙は、さらに政府当局者の話として、トランプ氏が3月、コーツ国家情報長官にフリン氏へのFBIの捜査に介入できないか打診したと伝えている。トランプ氏はその後、コーツ氏とロジャーズNSA局長にそれぞれ電話し、トランプ氏陣営とロシア側が共謀した証拠がないと公表するように求めたという。
マラー氏は、トランプ氏のコミー氏に対する「圧力」に加え、コーツ、ロジャーズ両氏への働きかけにも関心を示しているとみられる。
マラー氏の捜査によって司法妨害の疑いが濃厚になった場合、連邦議会による大統領の弾劾(だんがい)を求める動きが強まる可能性がある。(ワシントン=杉山正)