実験車両の前で記念撮影に応じるZMPの谷口恒社長(右)と日の丸交通の富田和孝社長=東京都文京区
自動運転ベンチャーのZMP(東京)とタクシーの日の丸交通(同)は15日、無人タクシーの実用化に向けて業務提携すると発表した。2020年の東京五輪にあわせ、限定した区間で走らせることをめざす。
ZMPは東京湾岸地域で実験を進めてきたが、日の丸タクシーの車両にもセンサーやカメラを付け、自動運転に必要な情報を集める。スマートフォンの配車アプリで無人タクシーを呼べるようにする構想。実現したとしても利用区域は限られるため、「有人と割安の無人を乗り継ぐイメージ」(ZMPの谷口恒社長)を念頭に置くという。
ただ、道路交通法では車の走行には運転者が必要なため、無人での運転には法改正などが必要で実現に向けた課題も多い。自動運転に向けた公道での実験も、現在は免許を持った人が運転席に乗るなどの条件で認められている。
海外では、米配車大手ウーバー・テクノロジーズやIT大手のグーグル系企業が無人タクシーの開発を急いでいる。国内でも、全国ハイヤー・タクシー連合会は昨年8月、トヨタ自動車との間で、自動運転技術のタクシーへの活用に向けた協力で合意した。
日の丸交通の富田和孝社長は「IT企業が自動運転タクシーに参入すれば、既存のタクシー会社が生き延びるのは難しい」。これまで培った安全運行のノウハウを無人タクシー事業にも生かすことで、活路を見いだしたい考えだ。(木村聡史)