「父の日にわさびを贈ろう」キャンペーンで、副知事室を訪れたわさび生産者ら=静岡県庁
父の日にワサビを贈ろう――。静岡県山葵(わさび)組合連合会が5年前、父の日と同じ6月第3日曜日を「わさびの日」と定め、キャンペーンを始めた。母の日のカーネーションのように、「定番」になれるだろうか?
県山葵組合連合会の生産者ら9人が7日、県庁を訪れ、一足早い父の日のプレゼントとして難波喬司、土屋優行両副知事に伊豆市産の「本わさびとわさび漬けのセット」を贈呈した。その場でご飯にカツオ節とワサビを乗せたワサビ丼を作り、試食もしてもらった。「二日酔いの朝、ワサビ丼を食べると頭がシャキッとしますよ」「辛いのが苦手という人は天かすを入れてもおいしいです」など食べ方のアドバイスが飛ぶ。
なぜ父の日にワサビなのか? 連合会の塩谷広次会長は「ワサビの効能は食欲増進。梅雨時の食欲が落ちる時期にワサビを贈ってお父さんに活力をつけてもらいたいという狙いです」。県内のスーパーで父の日の前日にワサビの試食会をしたり、マスコット「わさびのさびちゃん」の着ぐるみを製作してPRしたりと普及に努めているが、浸透は「少しずつ少しずつ」。
試しにインターネットで「父の日」「わさび」で検索してみた。楽天市場では3千件余りがヒット。意外と多い。ワサビ単体ではなく、ウナギや和牛、そばと詰め合わせで贈るパターンが多いようだ。
2015年の統計では、県のワサビ産出額は33億円、栽培面積は130ヘクタールでともに全国1位。生産量は228トンで長野県に次いで2位。今年3月には静岡水わさびの伝統栽培が日本農業遺産に選ばれ、世界農業遺産にも新規申請した。
塩谷会長は「ワサビに勢いがある今年、『父の日はわさびの日』を全国に広げていきたい」と話した。(阿久沢悦子)