IS戦闘員に一時占拠されたモスル大学。校内では至るところに弾痕が刻まれていた=イラク北部モスル、仙波理撮影
イラク北部モスルを占拠した過激派組織「イスラム国」(IS)は、市内のモスル大学を破壊し尽くして立ち去った。首都のバグダッド大学に次ぐ名門校は廃虚と化したが、少しずつ学生が戻っている。教員たちは「失われた時間を取り戻す」と再開に向けて動き始めていた。
モスル大学は今年1月、イラク軍側が2年半ぶりにISから奪還した。今月12日、医学部の校舎に記者が入ると、油が燃えた強烈な臭いが鼻をついた。壁は黒く焦げ、所々で天井が落ちていた。大学職員によると、IS戦闘員は逃走時、多くの校舎に重油をまいて火を放ったという。
奪還作戦時に、米軍中心の有志連合による空爆で完全に破壊された校舎もある。校舎の多くは数百人のIS戦闘員とその家族が住居として使ったという。破壊を免れた薬学部でも、高額な検査機器ばかりが略奪された。研究者の一人は「生物兵器をつくりたいのか、売って金にするのか」と途方に暮れていた。
大学関係者によると、ISは2014年6月にモスルを占拠した後、法学部や文学部、考古学部、芸術関係の学部を閉鎖。閉鎖を免れた学部では、ISを支持する学生だけに勉強を許可した。女子学生は看護や教育関係の学部のみに残ることを許した。
イラク政府は「IS支配下の教…