パンク寸前の宅配業界
「クロネコヤマト」のヤマト運輸は19日から配達の時間指定を見直し、「正午~午後2時」をなくす。10月には個人向け配送料金を27年ぶりに値上げする。サービスを見直し、長時間労働を強いられたドライバーの待遇を改善するためだ。「お客様第一」にこたえる日本企業のきめ細かなサービス競争は今、転換点に来ている。私たち消費者も過剰なサービスを当然のように思っていなかったか。
「ドライバーは増えていないし、荷物は減らない。現場は変わっていないよ」。ヤマト運輸の北日本の営業所で働く30代のドライバーはつぶやく。年初までは、定時より30分以上早く出勤して荷を積み、昼休憩をとらずに配達しないと荷物が配り終わらなかった。
会社は「働き方改革」を掲げ、残業時間をきちんと把握するようにはなった。だが、むしろ残業時間は増えている。「『改革』の効果はいつ表れるのか」
昨年8月の労働基準監督署の是正勧告を受け、違法な長時間労働が明るみに出た。社内調査では、約4万7千人分の残業代、計約190億円が未払いだった。
これを受けてヤマトは今春、値上げを決断し、手厚いサービスや働き方を見直す考えも表明した。親会社ヤマトホールディングスの山内雅喜社長は「顧客満足度を高めようとしてきたが、現場に目が行き届いていなかった」と話す。
値上げやサービス見直しの理由は二つある。
一つは荷物の増加だ。2016…