試合に敗れ、フェデラー(左)と握手する杉田=稲垣康介撮影
男子テニスのゲリー・ウェバー・オープンは20日、シングルス1回戦で世界ランキング66位の杉田祐一(三菱電機)が、同5位でこの大会9度目の優勝を狙うロジャー・フェデラー(スイス)と初対決し、3―6、1―6で敗れた。
あこがれの「生きる伝説」に完敗した杉田は正直だった。「うれしかった。彼と芝のコートで試合を出来るのはめったにない経験。冷静に戦うのは無理だと感じていた」。見せ場はマッチポイントを握られてから5点連取で唯一のブレークに成功した第2セット第6ゲームの粘りだった。
そもそも実現しないはずのカードだった。杉田は予選決勝でミハイル・ユージニー(ロシア)と3時間35分戦い、6―7、7―6、6―7という3セット連続タイブレークで敗れた。フェデラーも「あの試合の終盤は見ていた」と記者会見で触れる死闘だった。
失意で大会から去る予定が、この日のフェデラーの対戦相手が棄権。急きょ、昼過ぎに「ラッキールーザー(幸運な敗者)」枠での繰り上げ出場が決まった。「予選の負けは本当に力を出し切っての負けだったので、またチャンスをもらえてうれしかった」
力負けしたが、目標ができた。「フェデラーともう一度対戦できれば、気持ちの面で落ち着いてプレーできると思う。そこに行くのが大切。目指さないといけない」。早ければ、7月3日開幕のウィンブルドン選手権で実現するかもしれない。「そのときはしっかり勝負したい」(ハレ=稲垣康介)