土砂崩れの起きた中国四川省新磨村の現場近くで25日、泣き叫ぶ女性=ロイター
大規模な土砂崩れが起きた中国四川省のアバ・チベット族チャン族自治州茂県の新磨村に25日、朝日新聞記者が入った。現場で約2週間、断続的に降り続いていた雨が上がり、重機を使った救助が続くものの、大量の土砂に阻まれて作業は難航している。新たな生存者は見つからず、依然、93人が行方不明のままだ。
24日夜には地元消防が死者15人としていたが同県政府は25日、確認できた死者は10人と修正した。118人いた行方不明者のうち15人の無事が確認できたという。
発生から1日経った25日、現場まで1キロほど離れた新磨村の災害対策本部にたどりついた。もとは観光センターとして使われており、簡素な宿泊施設はあるが救援隊を受け入れる余裕はない。徹夜で作業を続ける救助隊が床に寝転がったり、外にテントを設置したりして休んでいた。
新磨村は標高は約2300メートルで省都成都の北約190キロに位置する。村に向かい、両側を山に囲まれた渓谷沿いの曲がりくねった道を走ると、崩れた山肌が何カ所も見えた。規模の小さな崩落はあちこちであったようだ。
村の人口は約3千人で、200人前後の集落が点在している。62戸が埋もれたという集落はその一つだった。背後の標高約3500メートルの山の頂上付近から、雨でぬかるんだ土砂が一気に流れてきたとみられる。
土砂が家の数百メートル先まで迫った60代の男性は「地震とも違う爆発のようなものすごい音が起きた。慌てて外に出たら、土砂がこちらに押し寄せてきた。逃げることもできずもうダメだと思ったが、奇跡的に助かった」と話した。
近隣の地域から多くの支援部隊…