大阪堂島商品取引所(大阪市西区)は、8月まで上場試験中のコメの先物取引について、近く農林水産省に本上場の申請を行う方針だ。認可されれば国内では、1939年に政府が取引をやめさせて以来、約80年ぶりに本格的な取引が再開される。
上場試験の効果を検証する第三者特別委員会が3日、「本上場の申請が望ましい」との報告書をまとめた。取引所は近く開催する臨時総会で、正式に申請を決める。
報告書は、取引量を示す「出来高」は順調に推移した▽投機資金による価格の極端な乱高下は確認されなかった――などとした。「十分な取引量が見込まれる」「生産・流通を円滑にするために必要かつ適当」などの認可基準も満たしていると結論づけた。
コメの価格は現在、JAグループで農産物の販売を担う全国農業協同組合連合会(全農)が、卸売業者に示す価格が指標となっている。一方、2018年度から国による生産調整(減反)がなくなる。生産者が自由な判断で生産できるようになると、より透明性の高い指標が必要だとの意見が専門家から出ていた。
コメの先物取引は、次に収穫期を迎えるコメの価格を、事前に決めておく取引だ。豊作で価格が下がれば生産者などの売り手が利益を得ることになり、天候による価格変動のリスクをある程度抑えることができるという。
コメの先物取引は江戸時代中期の1730年、大阪で始まったとされ、取引所は、「天下の台所」の復活に期待を寄せる。だが、コメの流通の4割を握るJAグループは冷ややかだ。上場試験にも「大事な食料を投機の対象にしたくない」として参加しなかった。
農水省は、2005年に堂島取引所の前身の関西商品取引所などが試験上場を申請したときには認可しなかった。その後11年に、試験上場を認可した。(中島嘉克)