暑さの中、ジョギングを楽しむ人々
「熱中症の季節」がきた。5月28日に朝日新聞社が主催し、スポーツを安全に楽しむために必要なことを話し合ったシンポジウム「スポーツと熱中症」(http://www.asahi.com/articles/ASK6K30RGK6KUBQU005.html)。会場から寄せられた質問のうち、紹介しきれなかったものについて、パネリストを務めた中京大スポーツ科学部の松本孝朗教授に運動生理学の立場から答えてもらった。
「スポーツと熱中症」 身を守る正しい知識 シンポ
Q スポーツでの熱中症予防に有効な食べ物はありますか。(42歳男性ほか)
A 特別に有効な食べ物はないと思いますが、汗で失われる塩分の補給が大切です。その意味でスポーツドリンクには塩分が含まれています。長時間運動する選手はスポーツドリンクに加え、塩をなめることもあります。高齢者を中心に減塩を心がけている方の中には、汗で失われる塩分に対して食事からの塩分摂取量が不足し、低血圧によるふらつきを訴える方もいます。塩分摂取を少し多めにすることも良いかもしれません。
しかし、血圧の高い方には血圧上昇にもつながるので、注意が必要です。一般的な意味からは、バランスの良い食事を食べることが大切です。
Q ジョギング中に熱中症かなと思った時の対処方は。(56歳男性)
A 運動中に熱中症かなと思った時の対応は①ペースを落とす②もっとドリンクを飲む③体を冷やす、の三つです。ジョギング中であれば①ジョギングをやめる②水分補給③身体冷却です。コンビニエンスストアがあれば、そこへ入って冷房で身体を冷やし、スポーツドリンクを買って飲んでください。
Q 真夏に大会や練習で走っている時、頭がぼーっとして足がつりそうになったので、慌ててトイレに駆け込み、頭から水をかぶりましたが、もう少し頑張れそうな気もしました。どんな判断基準がありますか。(別の56歳男性)
A 「頭がぼーっとした」「足がつりそうになった」は、まさしく熱中症の症状です。「慌ててトイレに駆け込み、頭から水をかぶった」という対応も正解です。市民ランナーの皆さんにとって、「もっと頑張ろう」とすることは熱中症のリスクを高める行動です。
スポーツ愛好者は常に自己ベストを狙おうとしますが、暑い時には、頑張り過ぎないことが熱中症予防の基本です。