1月から国連本部に勤める荊尾遥さん。右側にあるのは「非暴力」を表すオブジェ=米ニューヨーク、久保田侑暉撮影
広島、長崎への原爆投下から72年。核兵器の使用や保有が、初めて法的に禁止されることになる。7日、米ニューヨークの国連本部で採択された「核兵器禁止条約」。画期的な条約と歓迎する声がある一方で、戦争被爆国・日本の交渉不参加への失望も聞かれた。
核兵器禁止条約採択、米など反発 日本は「署名しない」
特集:核兵器禁止条約
7日午前10時50分(日本時間午後11時50分)ごろ、米・ニューヨークの国連本部。議場に設置された2枚の大型スクリーンに投票結果が示され始めた。賛成国の数がみるみる増えていくと、会場内から「YES!」と声があがる。議長国コスタリカのホワイト大使は身を乗り出してそのスクリーンをながめ、賛成多数を確信したのか、歓喜の表情を浮かべた。
投票124カ国中、賛成122カ国。各国代表やNGO関係者らが次々とその場で立ち上がり、会場は盛大な拍手に包まれた。
荊尾(かたらお)遥さん(35)はその瞬間を国連本部軍縮部の職員として見届けた。「今までなかなか届かなかった被爆者の声が届き、条約を後押しした。これまでの積み重ねで今がある。国連職員として歴史的な瞬間に立ち会えたことがうれしい」
広島市安佐北区出身。今年1月に国連軍縮部の職員となり、今回の会議ではNGOの窓口を務めてきた。
「軍縮が進むことが何より大事」と語り、核兵器禁止条約はそのための新しい動きと評価する。多くの被爆者や、個々のきっかけで原爆と向き合い、核廃絶に尽くしてきた人々の思いが結実したとも感じている。
幼い頃から、平和教育に触れて…