五嶋龍さん=門間新弥氏撮影
米ニューヨーク出身のバイオリニスト五嶋龍(ごとうりゅう)さん(29)が、北朝鮮による拉致被害者の救出を訴えるチャリティーコンサートを8~9月に国内4カ所で開く。司会を務めていたテレビの音楽番組のスタッフに、拉致被害者横田めぐみさんの同級生がいたことがきっかけとなった。
五嶋さんは2015年10月~今年3月、テレビ朝日の音楽番組「題名のない音楽会」で司会を担当。10代だった2002年秋、蓮池薫さんら拉致被害者が帰国するニュースを見て以来、拉致問題に関心を持っており、救出運動のシンボルである青リボンをあしらったネクタイを手に入れた。
昨年夏ごろのある日、テレビ出演時の楽屋で、このネクタイを着用する時の服装や場面について五嶋さんがスタイリストの平紀和(たいらのりかず)さん(52)に相談すると、平さんは「私は横田めぐみさんの中学時代の同級生で、拉致被害者の救出運動に取り組んできました」と打ち明けた。
平さんの紹介で今年2月、五嶋さんはめぐみさんの母・横田早紀江さん(81)と会った。娘を拉致されたことに苦しみつつ、母として希望や愛を持ち続けていると感じ、「拉致被害者を忘れないためのプロジェクトを実現させたい」と申し出た。
五嶋さんは政府拉致問題対策本部の後援を得て、「project R“拉致被害者を忘れない。”」と銘打ち、各地でチャリティーコンサートを開くことに。大学の交響楽団と共演する形をとる。8月10日に長野市で関西学院大と、同13日に仙台市で宮城教育大と、9月2日に大阪府豊中市で大阪大と、同3日には東京都小平市で複数の医療系大学生らと共演する。
五嶋さんはメールでの取材に、「米国では大学生が北朝鮮から帰還して死亡したニュースが報じられたが、関心は低い。コンサートが拉致問題について考える機会となってほしい」と答えた。問い合わせはオフィスGOTO(電話は090・2490・0650、メールはinfo.pjr2017@gmail.com)へ。(編集委員・北野隆一)