行方不明者の捜索をする自衛隊員=24日午前10時3分、福岡県朝倉市の筑後川、日吉健吾撮影
福岡県は24日、九州北部豪雨による県内の被害額について、23日現在で1197億円程度と発表した。大分県は206億円余り(15日現在)で、両県で計1400億円超となった。今後の調査でさらに増える可能性がある。
特集:九州北部豪雨
福岡県内の被害額は、道路や河川などの土木関係が全体の7割近い約793億円を占めた。うち河川被害は、朝倉市の赤谷川や黒川などの計410カ所で護岸が壊れるなど約409億円。道路被害は約275億円だった。
農林水産関係は約288億円。山腹崩壊は641カ所にのぼり、ため池が47カ所で壊れた。国と県は24日、ため池が壊れた原因などを調べ、復旧対策などを検討するチームを設置した。水稲も朝倉市と東峰村の作付面積の約半分となる987ヘクタールで被害を受けた。
朝倉市は24日、自衛隊による行方不明者の捜索活動がこの日で終了したことを明らかにした。今後自衛隊の活動は被災者の生活支援が中心となる。自衛隊はこれまで最大で2100人が参加していたが、25日の捜索は警察・消防で500人前後の態勢とする。捜索も人手中心から重機を使った掘削に変更する。
今回の豪雨による死者は35人、行方不明者は6人。
■朝倉市、捜索態勢縮小へ 不明者見つからず
九州北部豪雨の不明者6人の集中捜索が24日、福岡県朝倉市の赤谷川をはじめ、その下流の筑後川で行われたが、不明者は見つからなかった。
自衛隊や消防、警察などの計約2700人が捜索にあたった。筑後川で初めて消防による水中捜索も実施。市によると、人のものか動物のものか分からない骨が5カ所で見つかった。県警で鑑定する。
25日からは捜索手法をこれまでの人手中心から、重機を使った自宅など周辺の掘削へ移行する。筑後川や有明海は対象とせず、自衛隊は参加しないため、10日以降は連日2千人を超えていた人員は500人前後になる。森田俊介市長は会見で「行方不明者の捜索は続けるが、道路や河川の復旧事業も並行して進める」と話した。
一方、朝倉市杷木(はき)地区にある久喜宮(くぐみや)小の運動場では24日、豪雨で校舎内に土砂が流れ込むなどした松末(ますえ)小と志波小の仮設校舎の工事が始まった。