中央防波堤を巡る経緯
東京湾に、住所が定まっていない島がある。東京都の「中央防波堤埋め立て地」。江東区と大田区が「自分の区のもの」と帰属を争い、18日、都に調停を申し立てた。どんな場所なのか。
大田区と江東区が壮絶バトル 中央防波堤帰属巡り調停へ
平日の夕方、東京・お台場から南東に車で5分。トンネルを抜け、工場や都の庁舎が立ち並ぶ島の一角についた。唯一の公共交通であるバス停には帰宅する人の列ができ、羽田空港離着陸の飛行機が上空を飛ぶ。住所の表示は見当たらない。
都庁舎付近の交通整理を担当する警備員男性(62)は、島にある建物の住所がないため、島内で迷う人をよく案内するという。「初めての人にはわかりづらい。(帰属が)早く決まるに越したことはない」
島内にある会社には、訪問客から「カーナビで検索できない」と電話がかかってくるという。従業員は「不便といえば不便」。日本郵便によると、新設された建物への郵便物は周辺で聞いて回るなどして配達しているが、受取人が判明しない場合は差出人に返還することもある。
整備中の「海の森公園」では3月、森林整備体験イベントが開かれた。主催の森林文化協会(東京都)によると、招待したアフリカの駐日大使が迷わないようあちこちに案内看板を立てたという。担当者は「できればポスターで会場の詳しい住所を示したかった」と漏らす。
埋め立て地の名の由来となった…