「津久井やまゆり園」を利用していたという親子も献花台に花を手向けた=26日午前9時31分、相模原市緑区、角野貴之撮影
相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、27人が重軽傷を負った事件から26日で1年。園の前には献花台が設けられ、手向けられた花束でいっぱいになった。訪れた人たちは雨が降りしきる中、深い祈りを捧げた。
特集:相模原の殺傷事件
かつて10年ほど園で働いたという60代女性は「私たちの方が入所者に思いやり、優しさを教えてもらいました。悲しいし、悔しい」。園に約11年勤めた清水正法(まさのり)さん(69)も「障害者がもっと安心して暮らせる社会を作っていかないといけない」と話した。
知的障害がある知人がいる川添望さん(52)は、「ひとごとと思えない。事件を絶対に忘れてはいけないし、繰り返してはいけない」と語った。
殺人罪などで起訴された元職員の植松聖(さとし)被告(27)は「障害者なんていなくなればいい」と供述。朝日新聞記者に6月に寄せた手紙でも、その考えに変化はない。重複障害のある次男(28)と訪れたケアマネジャー垂水京子さん(60)は「1年が経っても考えが変わっていないのが腹立たしい」と話した。
園の入倉かおる園長(60)も黙禱(もくとう)し、大きなユリの花束を捧げた。「あっという間に命を奪われ、守ってあげることができなかった。申し訳ない気持ちでいっぱい」と悔やんだ。「まだまだ続く人生だったのに無念だ」とつぶやいた。植松被告について、「やってしまったことの重大さを直視できない弱さがあるのだろう」と話した。
植松被告の初公判は来年以降になるとみられている。(飯塚直人、白石陽一)