マンション内駐車場と、部屋とが同じ税額なのはおかしい――。こんな疑問を持った不動産管理業者が、東京都を相手に、固定資産税などの減額をもとめる訴訟を東京地裁に起こした。居住設備が整った住宅スペースと、マンション1階にあるコンクリートの駐車場で、床面積あたりでは同じ税額となることに不公平感があるというものだ。
訴えたのは、東京都品川区にある14階建てのマンションの1階にある駐車場を持つ業者。2016年度に建物にかかった固定資産税と都市計画税の計約46万3千円のうち、約半分は払い過ぎだと主張している。
マンションの固定資産税は、まず共有部分を含めて建物全体で価値を評価して税額を算出。フロアに関係なく、各部屋の床面積に応じて税額を割り振る。
ただ地方税法には、設備や内装の豪華さ、天井の高さに「著しい差異」がある場合、一律の税額を修正できる規定がある。
タワーマンションではこの規定にもとづき、高層階ほど価値が高い実態を反映させ、18年度から新たに課税される物件から、固定資産税は「高層階ほど増税、低層階ほど減税」に地方税制度が改められた。
これをきっかけに業者側は、「駐車場には台所や風呂などの設備がなく、コンクリートがむき出し。著しい差異がある」と主張している。
これに対して、東京都は「新築された当時の住宅部分と駐車場の設備や仕上げの違いはわからないが、当時に『著しい差異』はないと判断した」などとしている。
原告の主張が認められるようならば、マンションの駐車場の固定資産税の見直しに発展するだけでなく、設備や内装の違いによる課税の公平性の議論に広がる可能性がある。(松浦新)