早稲田実―八王子 七回表早稲田実無死、清宮選手は中越えに本塁打を放つ。捕手越村選手=神宮、林敏行撮影
第99回全国高校野球選手権西東京大会に出場している早稲田実の清宮幸太郎選手(3年)が28日、神宮球場での八王子との準決勝の七回にソロ本塁打を放ち、これまでの高校通算最多本塁打とされる107本に並んだ。これまでの最多記録を持っていたのは2012年の山本大貴選手(兵庫・神港学園)。試合は4―1で早稲田実が勝ち、決勝進出を決めた。
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七回に先頭で打席に立った清宮選手は、カウント2ボールから外角へ逃げる115キロの変化球を捉え、中堅左に運んだ。「ズバズバ内角をつかれ、緩い球で打ち取られていたので、思い切り振った」。その緩い球を打った一打だった。
記念の本塁打は、2―1と競っている中での本塁打だった。注目のなかで打ち続けている清宮選手。「重圧はない。結果はコンディションに左右される。調子が良ければ打てない気がしない」と話す。
清宮選手が注意を払うのは、体調を整えること。素振りなどの自主練習の時間を短くしてでも、体のケアや筋力トレーニングに取り組んできた。独自にジムにも通い、体の強化への知識は豊富だ。早稲田実の小出敦也トレーナーは「下半身の筋肉量が高校生としては格段に多い。パワーをスイングにつなげる体幹もこの2年でかなり強くなった」と感心する。
試合のなかでの準備も丁寧だ。1年生のころは次打者席で「体が固まっちゃう」と座らずに、応援曲に乗って足を動かしていた。最近ではひざをつき、立てたバットに手を置いて、背中を伸ばしてリラックス。常に同じ感覚を保つために打つ前のしぐさは同じだ。一度振って打席に入り、首をひねって胸を張る。その後は、「打席ではあまり考えない。投手との対戦なので」と来たボールに集中する。
「自分はすごく敏感なんです」
豪快に見えて、その繊細さで、本塁打を積み重ねている。(坂名信行)