(26日、日本ハム4―2ロッテ)
広大な農地を照らす、十勝の太陽。恵みの光を受けて、ボールは飛んだ。八回。先頭打者だった日本ハムの大谷は初球のスライダーをとらえると、本塁打を確信したのか、ゆっくりと歩き出す。打球は右翼席のはるか上空を越え、球場外周の林の方向へと消えた。
ダルビッシュ「93勝貢献」 ハム北海道1千勝をお祝い
「(感触は)よかったです」と大谷。1点を争う試合は七回、代打・矢野の2点適時打で逆転し、流れを引き戻した。先発した上沢は大谷に、「『そろそろ打って』と言ったんです。そのそばから打ちました」。推定飛距離140メートルの長大な放物線は、あと1勝と迫っていた球団の北海道移転後1千勝をも決定づけた。
今季は昨季終盤からの右足首痛で投手としての調整はできずに開幕を迎えた。一方で、打撃は好調。4月7日までの打率は4割を超え、本塁打も2本。しかし、翌8日に発症した左太もも裏の肉離れがすべてを狂わせる。試合復帰まで6週間と見込まれていたのに、10週間以上もかかった。「技術的な精度が上がらない。キャンプでいえば、まだ第2クールくらい」と、栗山監督も本調子には遠いことを認める。
故障が癒え、打者としての出場を始めてから、14試合目で放った本塁打。試合後、大谷は多くを語らなかった。バスに乗り込む前に残したのは、「これからのほうが、大事なんで」。この1本が、まだ始まりにしか過ぎないことをわかっている。(山下弘展)
○栗山監督(日) 北海道移転後1千勝を達成。「北海道の生活の中に入れてもらうには、これからの我々の姿が大事になる」
○上沢(日) 7回2失点で粘る。「きょうはフォークがよくなかったが、そのぶん直球がよかった」
○矢野(日) 七回、代打で逆転の2点適時打。「上沢が気持ちのこもった投球をしていたので、何とかしたかった」
●伊東監督(ロ) 「唐川はゲームをしっかりつくってくれた。緊迫感のある投手戦だった」